突然の病気やケガでお仕事ができなくなったときの生活費や雑費の対応策を、みなさんはどうお考えですか?
「貯蓄が十分にあるから、一か月やそこらの入院くらいならなんとかやりくりできるはず。」
「夫(妻)の収入があるからなんとやっていけると思う。」
このような方々は、特に問題はないのかもしれません。たしかに一か月くらいのお話であれば、現実的に考えても大丈夫そうに思われますが、これが半年や年単位になった場合、話はガラッと変わってきます。
「会社員の方であれば会社からの傷病手で入院費は保障されるし、そんなに重く考える話ではないのでは?」
と考えられがちな、お仕事ができなくなった時の生活費のお話。
でも皆さんご存知でしたか?傷病手当や社会保険の労災保険には、様々な条件があります。
労災保険は通勤や勤務に関係があるかどうかにちょっと厄介な基準があり、傷病手当は入院費しか保証されません。
つまり生活費や雑費は保障されない…最近は病気で病院に行ってもなかなか長期入院はさせてもらえず、短期入院や通院型になるケースが多いようです。通院となると入院した場合に比べて交通費や食費などがかさんだりしますよね。
そんな時に役に立つのが所得補償保険!別のまとめの「収入保障保険って必要なの?今からできる子どもと家族のための保険」(http://hoken-manabiba.com/archives/630)でも少しふれましたが、今回は所得補償保険についてもっと詳しくお話していきたいと思います。
他にも、いざという時のための保険にはこのようなものも存在しています☟
傷害保険ってこんな仕組みなの?医療保険とは違った傷害保険の特徴を解説!
収入保障保険って必要なの?今から出来る子どもと家族のための保険
是非、参考になさってください。
所得補償保険
所得補償保険とは?
所得補償保険とは、保険加入者が病気やけがなどで一時・長期的に仕事をすることが難しくなった時に、その期間の収入を補償する損害補償の一種です。
具体的にこのような場合に考えなければならない出費としては、
・入院費
・生活費
・教育費
・定期の支払(光熱費・そのほかの保険料…)
・住宅・自動車ローン
などがあります。もしもの時に一番はじめに気になるのが入院費ですが、これは会社員であれば傷病保険が適用されます。
しかし、ここで一番注意したいのが、この傷病手当は会社員だけのお話であるということです。自営業や個人事業主にはこのような保障がないのです。
所得補償保険が必要な人
所得補償保険が必要な人としては、主に自営業者や個人事業主、フリーランス、SOHOなどの、いわゆる国民健康保険加入者に当てはまる人です。
この人たちには、先ほどの傷病手当が存在しないため、有給休暇もありません、休んだら休んだ分だけ収入が減り、その分自身の生活も圧迫されます。
よって、休業時のサポート役としてこの収入保障保険への加入を検討すべきといえるでしょう。
所得補償保険と収入保障保険の違い
所得補償保険と収入保障保険の一番の違いは、保険金が支払われるケース(保障対象)にあります。
所得補償保険は就業中の勤務の途絶えた期間の収入を補償する性格の保険ですが、収入補償保険は被保険者の死亡時に保険が適用されるため、残った家族の生活の保障ための保険ということができます。
税金の控除はどうなっている?
保険といって皆さんが一番に考えるのは、税金控除のお話でしょう。
確定申告で生命保険は控除の対象となりますが、所得補償保険は、就業不能となった被保険者の休業機関の損害分を補償する損害保険の一種なので、厳密に言うと生命保険には該当しません。
しかし、所得補償保険は被保険者の身体の傷害または疾病によって就業できなくなった状態を補償する保険であるため、生命保険の一種とみなされ、生命保険料控除の対象となっています。
生命保険料控除とは、年間で支払った保険料に応じて所得税や住民税が減額される制度のことで、保険料の負担を軽減することを目的としています。
具体的な保険料の控除額は、以下の通りです。
年間の支払い保険料の合計 | 控除額 | |
所得税 | 25000円以下 | 保険料の全額 |
所得税 | 25000円超50000円以下 | 保険料の1/2+12500円 |
所得税 | 50000円超100000円以下 | 保険料の1/4+12500円 |
所得税 | 100000円超 | 一律50000円 |
個人住民税 | 15000円以下 | 保険料の全額 |
個人住民税 | 15000円超40000円以下 | 保険料の1/2+7500円 |
個人住民税 | 40000円超70000円以下 | 保険料の1/4+17500円 |
個人住民税 | 70000円超 | 一律35000円 |
マメ知識 - 税金の控除って?
控除とは、対象分から一定の割合で控除となる分を引き抜くことを示します。
税金の場合は、納税者の生活状況や家庭環境などを勘案して、納める税額を公平にするために設けられた制度です。
「収入 − 必要経費 − 各種控除 = 課税所得金額」
となります。この「各種控除」の中に所得控除が当てはまります。
課税所得はこのように算出されるので、控除額が多いほど節税になります。
この課税所得金額に税率をかけて、課税控除額というものを差し引いた金額が、実際に納める所得税の金額になります。
自営業などの所得控除の種類には、以下のようなものがあります。
雑損控除
医療費控除
社会保険料控除
生命保険料控除
地震保険料控除
小規模企業共済等掛け金控除
寄付金控除
寡婦・寡夫控除
勤労学生控除
障害控除
配偶者控除
配偶者特別控除
扶養控除
基礎控除
青色申告特別控除
これらの控除額はそれぞれ異なりますが、だいたいは一人につきいくらずつですとか、一定の割合ごとの金額が定まっています。(最大は65万円まで控除可能となっています。)
相続税について
所得補償保険は、基本的に被保険者が受取ることになります。相続税はお金の所有者が変わるときにその額に対して税金がかかる制度であるため、受取った保険金を使い切らずに残額があれば当然相続税の課税対象になります。
また、被保険者以外の配偶者などが、被保険者の死亡時に保険金を「一括で受取った」場合も課税対象になります。
経費について
所得補償保険は就業不能時のサポートを受けられない自営業者や個人事業主の方にお勧めの保険ですが、ここで気になるのが所得補償保険の保険料の取扱です。経費に落ちるかどうかは、皆さん気になるところですよね。
個人事業主の経費として認められる保険料は、事業用の建物等の火災保険か自動車保険の事業専用割合(車なら家事用部分50%、事業用部分50%などです。)相当額のみです。よって、所得補償保険は基本は経費になりません。
しかしこれは契約者と被保険者がどちらも事業主自身の場合のお話です。
契約者が事業主、被保険者が従業員の場合は、福利厚生とみなされるため経費として取り扱うことが可能となります。
まとめ
いかがでしょうか。就業ができないときの補償として、労災保険や傷病手当金、それから収入補償保険や今回の所得補償保険があることがお分かりいただけたと思います。
これらを理解する際に一番注意しなければならない点としては、やはりご自身がどの補償を利用できる立場にいるかどうかということだと思います。
また、法人向けの所得補償保険もありますので、次回はそのような保険についてもふれていきたいと思います。
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