皆さん、住宅ローン控除についてご存知でしたでしょうか?
よく耳にされると思いますが、まだまだ実際の仕組みについてご存知でない方も多いのではと思います。
今回は、住宅ローン控除について、基礎からわかりやすく解説いたします。
簡単に説明すると、住宅を購入等した際、税金が年末調整の際に戻ってくるという、ありがたい仕組みです。
正式名所は「住宅借入金特別控除」と言います。
ありがたい制度ではありますが、住宅ローン控除を受けるには様々な条件をクリアする必要がありますので、追ってご説明させて頂きます。
住宅ローンに関する記事、共働き必見!!住宅ローンを夫婦で受ける為の講座
や、5分でわかる!!住宅ローンの金利についてわかりやすく解説します。
でも紹介しています。
住宅ローンに関する税金について
住宅を購入した際は、色々な税金がかかってきます。
不動産取得税、登録免許税、印紙税などです。
不動産取得税とは
不動産取得税とは、土地や家屋を購入したり、家屋を建築するなどして不動産を取得したときにかかる地方税です。
土地や住宅用の家屋の場合、固定資産税評価額の3%を国に納める決まりとなっています。
ただ、平成26年3月末日までに、新築物件を取得した場合、特例があります。
その特例とは、、、床面積が50~240㎡である場合、課税標準額から最大1200万円まで控除が認められています。
この特例により、不動産取得税については支払わなくて済む人もいるようです。
登録免許税とは
登録免許税とは、不動産、船舶、会社の登記または登録の際に課される国税です。
今回は、不動産についての説明をします。
たとえば、土地や建物を購入して登記をする場合に課税されます。
住宅ローンの設定など、銀行から融資を受けるとき、不動産を担保して、抵当権の設定登記を行うのです。
その際にも、登録免許税を納めなければなりません。
ただし、この登録免許税にも軽減措置があります。
たとえば、平成26年3月までに、耐久性、耐震性、省エネ性能等の点で一定の基準を満たした
認定長期優良住宅について、所有権の保存登記・移転登記を行う際は、登録免許税が0.1%に減額されるという措置になります。
印紙税とは
印紙税とは、売買契約書や、住宅ローンの契約書(金銭消費貸借契約書)にかかる国税です。
いわゆる文書にかかる税金です。収入印紙を貼付して税金を納めるという仕組みです。
すべての文書に税金がかかるわけではありませんのでご安心を。
たとえば、1万円以上の土地・建物の売買契約書や、金銭消費貸借(お金の貸し借り)
契約の書類には印紙が必要です。
契約書は通常2通作成されます。その為、それぞれの契約書に貼らなければなりません。
売買契約書の場合は、買主と売り主が1枚ずつ代金を負担することが多いようです。
印紙税もばかにはなりません。
たとえば、3000万円の住宅を売買する際は、2万円の印紙税がかかります。
印紙代を貼り忘れてしまうと、税務調査で発覚した場合、印紙代の3倍の過怠金が徴収されますのでご注意ください。
住宅ローン減税制度とは?
いよいよ、本題の住宅ローン控除の説明をさせて頂きます。
正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。大体は、住宅ローン控除と呼ばれているので、よく耳にされているのではと思います。
銀行から融資を受けて、住宅購入等をした際、一定の期間、住宅ローンの年末残高の一定割合を、毎年支払う税金(所得税や住民税)から控除してもらえます。
金額や期間など控除内容は、居住した年月によって異なります。
出典:https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1213.htm
対象となる年の所得税額から、住宅ローンの年末残高の1%を計算します。その金額が所得税から戻ってくる金額となります。
もし、年末残高の1%よりも所得税額の方が少なければ、残りの部分は住民税から差し引かれます。
たとえば、支払った所得税が16万円、住宅ローンの年末残高の1%は25万円です。所得税からは16万円が戻ってきて、ひききれなかった9万円は翌年納める予定の住民税から引いてもらえます。
住宅ローン控除の条件
住宅ローン控除を受けるためには、住宅、年収、ローンについて様々な条件を満たす必要があります。
出典:https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1213.htm
難しい内容なので、簡単に説明させていただきます。
住宅についての条件
① 住宅については、床面積が50㎡以上である
② 中古住宅は築後20年以内(マンション等は、25年以内)である
③ 増改築した場合には、工事費用が100万円以上である
④ 店舗併用住宅の場合には床面積の半分以上が居住用である
年収、ローンについての条件
① 返済期間が10年以上である
② 自分が住むための住宅取得である
③ 合計所得金額が3000万円以下である
④ 生活をともにしている親族などから購入した物件ではない
⑤ 物件を取得してから6ヶ月以内に住み始め、控除を受ける年の年末にも実際に住んでいること
住宅ローン控除を受ける為の、実際の手続きについて
住宅ローン控除を受けるには、確定申告が必要です。
サラリーマンのような、会社勤務の場合も、初年度だけは確定申告をしなければなりません。
申告期間は、入居した翌年の確定申告期間(2月16日~3月15日)までになります。
住宅ローン控除を受けるための確定申告に必要な書類
① 売買契約書
② 土地・建物の登記事項証明書
③ 住民票
④ 源泉徴収票
⑤ 住宅ローンの年末残高証明書(銀行から送られてきます)
税務署にある書類
① 確定申告書
② 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
※ できれば、申告に出向く前に入手し、事前に必要事項を記入しておくといいかもしれません。
書類がすべて用意出来たら、住民票の籍を置いている税務署に出向いて申告します。
ただし、現在は国税庁のホームページよりインターネット申告も可能になっています。
借り換えや、繰り上げ返済時のローン減税はどうなるのでしょう?
住宅ローン控除を受けている期間に、住宅ローンの借り換えや繰上返済を行ってしまうと、減税にどのような影響が出てくるかを説明します。
住宅ローンの借り換えをした場合でも、引き続き住宅ローン減税を受けることは可能ですので、まずご安心ください。
ただし、これにもやはり、2つの条件クリアが必要です。
・新しい住宅ローンが当初の住宅購入についての返済であること
・新しい住宅ローン期間は10年以上等で、住宅ローン控除の条件にあてはまること
注意点は、借り換えた住宅ローンの返済期間になります。
例えば、借り換えした住宅ローンが10年に満たない場合は、住宅ローン控除の要件を満たさず、当初の住宅ローン控除の期間が残っていたとしても、受けることが出来なくなってしまいます。
控除の期間とは、あくまでも当初からの一定期間なので、借り換えしたからといって期間が延長されないのです。
借り換えの諸費用も合わせて融資してもらった場合、借り換え前よりも住宅ローン残高が多くなることがあります。
この場合、控除対象となる年末の新しい住宅ローン残高が調整されるようになります。
繰り上げ返済に関する記事、5分でわかる!住宅ローンの繰り上げ返済について!わかりやすく解説します。
にて紹介しています。
住民税からも住宅ローンが一部控除出来る場合があります
住宅ローン控除は、住民税も控除の対象になる場合があります。
どのような場合かというと、住宅ローン控除額が所得税を上回ってしまった場合です。
所得税で控除出来なかった部分が、住民税から控除されるようになるのです。
ただし、これについても上限が定められています。
所得税の課税所得×5%まで。つまり、最大9万7500円までです。
認定炭素住宅についての軽減措置とは
認定炭素住宅とは、複層ガラスや一定の厚さ以上の断熱材、太陽光発電パネルが設置されているような、省エネルギー性が高い環境に配慮した住宅のことです。
平成24年から認定長期優良住宅と同じく、住宅ローン控除の特例の対象ですが、都道府県知事または、市区町村長の認定を受けなければなりません。
バリアフリー改修促進税制について
所有している、もしくは居住している住宅について、一定以上のバリアフリー改修工事を行ったとします。
その場合も、所得税額の軽減措置を受けられるのです。
・ローンを受けて改修工事を行った場合 ⇒ 特定増改築等住宅借入金等特別控除
・ローンを受けずに改修工事を行った場合 ⇒ 住宅特定改修特別税額控除
の2パターンですが、重複しては適用されません。
なおかつ、条件にあてはまる必要があります。
① 50歳以上であること
② 介護保険法に規定する要介護又は要支援の認定を受けていること
③ 所得税法上の障害者であること
④ 高齢者等(65歳以上の親族・②・③に該当する親族)と同居していること
省エネ改修促進税とは
所有している、もしくは居住している住宅について、一定以上の省エネ改修工事を行ったとします。
その場合も、所得税額の軽減措置を受けられます。
窓、床、天井等の断熱工事と、この工事と一緒に行われる太陽光発電装置設置の取り付け等が対象となります。
バリアフリー改修と同じように、
・ローンを受けて改修工事を行った場合 ⇒ 特定増改築等住宅借入金等特別控除
・ローンを受けずに改修工事を行った場合 ⇒ 住宅特定改修特別税額控除
の2パターンですが、重複しては適用されません。
新築住宅の固定資産税の軽減措置、譲渡損失の繰越控除の軽減措置とは
住宅を購入すると、固定資産税がかかってきます。
新築住宅を取得した場合、ある一定期間の間については、固定資産税が軽減されるようになります。
譲渡損失とは、買い替え等で、住居を売った際、譲渡損失が生じた場合、所得税・住民税の軽減措置を受けることが出来ます。
まとめ
住宅ローン控除とは、所得税・住民税から控除を受けることが出来る税制度になります。
ただし、それぞれの条件を満たさないと適用されません。
更に、確定申告をしなければ受けることが出来ませんので、くれぐれも注意しましょう。
住宅ローンに関する記事をまとめていますので、よかったら見てくださいね☟