人が死亡すると、その人が持っていた財産や抱えていた借金は持ち主がいなくなってしまいます。
そこで行われるのが相続で、これには相続税という税金が課せられます。
この相続される財産には課税されるものと課されないものがありますが、実は生命保険の死亡保険金にも税金がかかることがあるのです。
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相続税の仕組み
そもそも相続ってなに?
相続は、「誰かが死亡した際にその人が持っていた財産・借金を誰が引き継ぐか」を決めることです。
相続するときに一番重要なのは、死亡した人が遺言を遺しているかどうかという点です。
法的に有効である遺言がある場合、原則として遺言で指定されたとおりに財産が配分されます。
一方で遺言がない場合、または法的に有効でない遺言であった場合は民法で定められている通りに「相続人になれる人の範囲」と「順位」が決定されます。
民法では、相続人になれる人は「配偶者」「子」「父母」「兄弟姉妹」で、これらの人を法定相続人と呼びます。
相続人となる順位は、配偶者は必ず相続人になるので除き、「子」「父母」「兄弟姉妹」の順で相続人となります。
ちなみに、「法的に有効な」遺言書というのは3つのタイプがあります。
①自筆証書遺言
これは一番簡単な遺言の書き方です。氏名と日付、本文をすべて自筆で書き、最後に印を押せばOKです。
この自筆証書遺言の気を付けておきたいポイントとして、「自筆」でないと効力を持たないという点があります。
当然ワード等で作った遺書は効力を持たず、また代筆も同様です。
日付に関しても「正確に特定できる」書き方でないといけません(例:〇年×月吉日はダメ)。
上記の注意点さえ守ることができればいつでも手軽に作成できます。しかし、自筆であるが故にこのタイプの遺書の場合「有効か否か」ということで大いに揉めるケースが多いという現状があります。
また、この自筆証書遺言は書いた本人が死亡後すぐには開封できません。遺書の改変等不正が起こるのを防ぐため、家庭裁判所による「検認手続き(一か月程度)」を行う必要があります。
②公正証書遺言
こちらは公証人という、裁判官や検察官や弁護士など長い間法律のプロとして働いていた人たちによって作成される遺書です。
公証人が作成した遺書は公文書となるため非常に信頼性が高く、自筆証書遺言で必要だった検認手続きも必要ない点が大きなポイントです。
さらに遺言は公証役場に保管されるので改変の可能性もなく非常に安全性が高いものとなっています。
ただし、公正証書遺言の作成手続きはかなり手間がかかります。
公正証書遺言作成には2人の証人が必要です。この証人には自分の家族や相続する可能性のある人にはなってもらうことができません。
この証人2人とともに公証役場に行き、各種手続きを行わなければなりません。
遺言を遺す人が病気などで病院から出られない場合などは病室でこの手続きを行うこともできます。
③秘密証書遺言
このタイプの遺言は「とにかく内容を秘密にしたい」という場合に有用です。
こちらは名前と印があれば印刷した文章であろうと代筆であろうと関係なく遺書として認定されます。
ただし封筒へ入れる作業と封をする作業は遺言を遺す人本人が行わないといけません。
その後証人2人とともに公証役場に行き、各種手続きののち保管されます。
秘密証書遺言はこのように誰も内容を見れないため、秘密性が非常に高いものです。
以上3つが「法的に有効な」遺言です。
このほかの遺言(録画、パソコン内のデータ、口頭など)では有効とは見なされず無効となってしまうので、遺言を遺す際には上記3つのうちいずれかで書く必要があります。
相続税の課税範囲
相続税が課される財産は相続財産となり、課税されるもの・非課税になるもので分類されます。
課税される相続財産には、以下のようになります。
1.本来の相続財産
民法のきまりで相続される財産のことを言います。
「経済的に価値のあるもの」をすべて含むので、現金や預貯金のみならず土地や所有している株式、あるいは車や家具なども含まれます。また特許権などの権利も含まれます。
その他これに該当するものとして、
・家屋
・山林
・公社債
・投資信託
・骨董品や絵画
・貴金属や宝石
・借地権
などがあります。
2.みなし相続財産
民法の決まりでは相続財産ではないものも相続税法の上では被相続人の財産として「みなす」ものがあり、それらは課税対象となります。
ここに当てはまるものとして代表的なのが、生命保険に加入していた場合の「死亡保険金」や「死亡退職金」です。
これらは被相続人が死亡した時には財産として持っていなかったが死亡後相続人がお金をもらっているので相続があったと「みなし」、課税をするのです。
ただし、これら「死亡保険金」「死亡退職金」は、受け取る側の事情を加味するという名目で、一定の額が非課税となる措置が取られます。
具体的には、
500万円×法定相続人の数
が非課税となります。
例えば死亡保険金が1500万円で、法定相続人が配偶者、子、死亡した人の母の3人がいた場合、非課税額も1500万円なので全額非課税となります。死亡退職金も同様です。
このように、死亡保険金や死亡退職金がとても高額な場合・法定相続人が少ない場合を除くと大体は非課税となることがわかります。
なお、この死亡給付金や死亡退職金を相続人とは別の人が受け取った場合はこの非課税制度は適用されないので注意が必要です。
3.相続開始前3年内に取得した贈与財産
相続によって財産を取得する人が、その相続が行われる3年以内に何らかの財産を贈与されていた場合、その財産に対し相続税が課せられます。
ただし、贈与を受けた時にすでに贈与税を払っていた場合はそのまま課税すると二重課税となってしまうので、その分の税額を相続税から控除することが可能です。
4.相続時精算課税制度を利用して贈与を受けた場合
相続時精算課税制度を届け出て取得した贈与財産の贈与時の価格を相続税の価格に加えられます。
※相続時精算精算課税制度とは?
贈与時に贈与財産にかかる贈与税を納め、のちに贈与してくれた人が死亡した場合に贈与財産と相続財産の価額(受け取った時の価格)を合計した相続税額からあらかじめ納めていた贈与税分を控除する制度。
この制度の目的は「早いうちに財産を子供に移転しやすくする」ということです。親が例えば80歳で死亡した場合に財産が子に渡っても、子の多くはすでに60代に差し掛かっています。そのころにはもう子にもある程度の財産ができている場合が多く、あまり有効に受け取った財産を使えません。
そこで、親が65歳の時にこの制度を使って先に贈与することで、子がちょうど結婚し子供が生まれた時期などお金を使う時期に財産を渡すことができるのです。その際、上記の例のように死亡時に相続した場合の税額と変わらないようになります。
一方、相続税が課税されない財産があります。
代表的なものは、
・墓地や仏壇、仏具
・心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権
・相続税の申告期限内に国に寄付した財産
があります。
また、貸入金や葬式費用、未納の税金といった負の財産については債務控除として税金は課せられません。
まとめ
生命保険から出る死亡保険金は、相続税法上「みなし相続財産」として課税の対象となります。
しかし非課税制度の利用によりその多くは非課税となるので、死亡保険金や死亡退職金が非常に高額でない場合は注意しすぎる必要はありません。
ただ法定相続人が少ない場合は非課税額が減少してしまうので、そういった状況も考慮するのを忘れないことが大切です。
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