税優遇のある投資制度として、確定拠出年金とNISAがあります。
どちらも、投資益が非課税となる制度で、両方をうまく活用することで、将来の資産形成に役立つといわれています。
ここでは、両者の特徴、違い等を解説していきます。
個人型確定拠出年金に関する記事は☟にて紹介しています。
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個人型確定拠出年金とNISAの特徴
個人型確定拠出年金の特徴
2017年1月より原則として、だれでも加入できるように!
2017年1月より、個人型確定拠出年金は、日本に住む20~59歳までの人なら、原則としてだれでも加入できるようになりました。
日本に住む人が対象であるため、会社員や公務員はもちろん、専業主婦や無職の方でも加入できるようになりました。
しかし、個人型確定拠出年金は従来の公的年金制度の上乗せという位置にあるため、国民年金の保険料を支払っていない人は加入することができません。
お金の使い方を自分で決めることができる!
個人型確定拠出年金では、投資を「することもできる」とされています。
個人型確定拠出年金の積み立てにおいて、投資をしたい人はすることもできますが、貯蓄をしたいだけであるという人は、預金のみでも良く、投資は義務ではありません。
個人型確定拠出年金は、投資をしなくとも、お金を積み立てるだけでメリットがあります。
毎月5000円から積み立てられる!
個人型確定拠出年金は、毎月5000円から積み立てることができます。
下限額は5000円ですが、上限額(拠出限度額)は職業によって異なってきます。
職業ごとの拠出限度額は次の通りです。
・自営業・フリーランス 68,000円
・企業年金がないサラリーマン 23,000円
・企業型確定拠出年金があるサラリーマン 20,000円
・他の企業年金+企業型確定拠出年金があるサラリーマン 12,000円
・公務員 12,000円
・専業主婦(夫) 23,000円
・無職 68,000円
投資をしない場合、一度手続きをしたあとは放置でよい!
個人型確定拠出年金に加入した際、最初に定期預金のような元本確保型の商品を選んでおけば、元本割れする心配もなく、着実に資産が積み上がります。
お金は任意の銀行口座からの自動引き落とし、もしくは給与からの天引きとなります。
つまり、特になにもしなくても勝手に資産が積みあがっていきます。
口座は1人1口座!
個人型確定拠出年金に加入する際、口座は一人一口座と決められています。
また、あちこちの銀行に個人型確定拠出年金の口座を作ることはできない上、簡単に口座を変更することもできません。
そのため、個人型確定拠出年金の口座を開設する場合には、慎重に口座の開設先金融機関を吟味する必要があります。
60歳までは引き出すことができない!
個人型確定拠出年金の口座において積み立てたお金は、60歳になるまでは原則として引き出すことができません。
(※しかし、50歳を過ぎてから個人型確定拠出年金に加入した場合には、引き出すことが可能になる時期が遅れます。)
個人型確定拠出年金の給付の方法は3種類あります。
①老齢給付金
老齢給付金は、加入者本人が60歳以降に年金方式、もしくは一時金方式で受け取る方法です。
年金方式で受け取る場合、公的年金等控除が適用された後、雑所得として所得税・住民税が課税されます。
一時金方式で受け取る場合、退職所得となり、退職所得控除が適用された後、所得税・住民税が課税されます。
②障害給付金
障害給付金は、加入者が疾病により障害状態になった場合、一定期間経過後に請求して、年金方式、もしくは一時金方式で受け取る方法です。
年金方式、一時金方式ともに、非課税で、60歳になる前でも受け取ることができます。
③死亡一時金
死亡一時金は、加入者が亡くなったときに遺族が一時金方式で受け取る方法です。
みなし相続財産として扱われ、相続税の課税の対象となります。受取人を指定することもできます。
かつては、脱退一時金という給付方法もありましたが、法改正によって支給要件が厳格化してしまいました。
そのため、2018年からはほとんどの人が受け取ることが不可能になりました。
NISAの特徴
少額投資のための非課税制度!
NISA(ニーサ・Nippon Indivisual Savings Account)は、平成26年1月から始まった、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入した、
株式や投資信託の金融商品から得られる利益が非課税になるという、少額投資を行う方のための非課税制度です。
イギリスのISA( Indivisual Savings Account=個人貯蓄口座)をモデルに作られました。
日本国内在住の20歳以上ならだれでも利用可能!
NISAは、日本国内に住む20歳以上ならだれでも利用することができます。
20歳未満であっても、平成28年1月から始まったジュニアNISAを利用することができます。
また、20歳になったら、自動的にNISA口座が開設されます。
口座は一人一口座!
NISAも、個人型確定拠出年金と同様に、開設することのできる口座は一人一口座です。
開設の際には、マイナンバーカードが必要となります。
非課税投資枠は年間120万、非課税期間は5年間!
NISAは年間120万円まで非課税で投資をすることができ、5年間は非課税となります。
また、累積投資額の上限は、年間の上限金額120万円×5年の600万円と決まっています。
その年の非課税投資額の未使用分を次の年に繰り越すことはできません。
いつでも自由に売却・換金できる!
NISAは、購入した金融商品(株式や投資信託等)をいつでも、自由に売却・換金することができます。
この際、注意していただきたいのが、年間の非課税投資枠は、たとえその枠で購入した金融商品を売却したとしても、
元には戻らないということです。
個人型確定拠出年金とNISAの違い
個人型確定拠出年金とNISAの特徴を確認したところで、次は、①税優遇、②引き出しの自由さ、③運用のしやすさ、の3つの観点から、個人型確定拠出年金とNISAの違いを解説していきます。
①税優遇について
個人型確定拠出年金
・全額が「所得控除」になります。
・運用中も非課税になります。
・受取の際は原則課税、しかし各種控除(退職金所得控除、公的年金等控除)が適用されます。
NISA
・売却益や分配金のみ非課税になります。
・非課税期間は5年間しかなく、超長期での運用はしづらいと言われています。
②引き出しの自由さ
個人型確定拠出年金
・原則60歳まで引き出すことができません。
60歳まで引き出すことができないというと、急にお金が必要になったときに、引き出せないというデメリットを感じてしまうかもしれません。
また、2017年の法改正では、今までよりも途中での積み立てたお金の引き出しがしづらくなりました。
しかし、60歳まで積み立てたお金を引き出すことができないということで、確実に老後の資産を積み立てることができます。
そういった点では、メリットとも言えるのかもしれません。
NISA
・いつでも購入した金融商品等を自由に売却・換金することができます。
ただし、売却したからといって、年間120万円の非課税の枠を再利用することはできません。
③運用のしやすさ
個人型確定拠出年金
・投資に関しては、投資信託に限定されているものの、口座内商品の預け替えを自由に行うことができます。
・一方で、金融商品の売買には時間がかかるため、機動的な運用には不向きであるとされています。
・最長で、20歳から60歳までの40年間、運用をすることができます。
NISA
・数多くの投資信託から商品を選ぶことができるので、投資の自由度は高いとされています。
運用資金の流動性という点においては、NISAのほうが圧倒的に優れています。そのため、数年で必要になるかもしれないという資金を運用しようと思っている場合は、
個人型確定拠出年金よりもNISAの口座開設をおすすめします。
・ただし、一度利用した枠は売却しても再利用することができないため、商品の預け替え等は難しいとされています。
・また運用できる期間は5年、延長しても最長10年であるため、長期の運用には向いていないと言えます。
まとめ
老後資金の形成のために投資をしたいというのであれば、個人型確定拠出年金、
目標のある投資をしたいというのであればNISAが、すぐれていると考えられます。
また、個人型確定拠出年金に加入しつつ、NISAも併用していくというやり方も、人によってはいい方法であると言えます。
それぞれの長所、短所を理解して自分の目的に合った方法を選びましょう!
個人型確定拠出年金に関する記事をまとめていますので、良かったら参考になさってください☟