老後を支えるお金として、①国から支払われる公的年金、②会社から支払われる企業年金、③自分で積み立てを行う私的年金があります。
しかし、少子高齢化によって、①、②は以前ほど強力ではなくなってしまいました。
そのため現在は、③の私的年金をしっかりと意識する必要があります。
そこで、今回は私的年金の1つである、「個人型確定拠出年金(iDeco)」について詳しく解説していきます。
個人型確定拠出年金に関する記事は☟にて紹介しています。
【手数料で比較!】おすすめの個人型確定拠出年金の金融機関について
個人型確定拠出年金は企業型と併用できる?個人型と企業型のまとめ
資産を運用したい!個人型確定拠出年金の運用商品と運用のやり方
良かったら参考になさってください。
個人型確定拠出年金とは?
確定拠出年金には、「個人型確定拠出年金」と「企業型確定型拠出年金」の2種類があります。
今回は、「個人型確定拠出年金」に的を絞って解説していきます。
個人型確定拠出年金とは、簡単に言うと、節税しながら老後資金を準備できる制度のことです。
また、個人型確定拠出年金は、自分で加入する・しないを決めることができます。
加入したい人は、自分で口座を開く金融機関を選んで加入し、毎月掛け金を払って、預金や投資信託などで運用し、将来受けとる年金を作ります。
このことから、個人型確定拠出年金は自助努力の制度と呼ばれています。
また法律が改正され、2017年からは今まで加入できなかった、勤務先に企業年金や企業型確定拠出年金がある会社員、公務員、会社員や公務員の配偶者(専業主婦等)についても加入できるようになりました。
つまり、原則としてだれでも個人型確定拠出年金に加入することができます。
個人型確定拠出年金の基本的な流れ
個人型確定拠出年金の流れ
ここでは、個人型確定拠出年金の加入から給付までの流れを説明していきます。
①加入
→自分で金融機関を選んで加入します。
②拠出
→給与天引き、もしくは口座振替を選択することができます。
掛け金は、毎月最低5000円からと決まっています。
掛け金の上限については属性によって決まります。
③運用
→金融機関の扱う金融商品から商品と配分割合を決めて運用します。
④給付
→60歳以降に一時金、もしくは年金方式で受け取ることができます。
加入の際の注意点
個人型確定拠出年金に加入するにあたって、いくつかの注意点があります。
・個人型確定拠出年金に加入するためには、国民年金の保険料を納めていることが条件であるということ
→確定拠出年金は、公的年金(厚生年金、国民年金等)に上乗せする年金という位置づけであるため、国民年金の保険料を支払っていない人は利用することができません。
しかし、無職や学生であっても、国民年金の保険料を支払ってさえいれば、個人型確定拠出年金に加入することができます。
・企業型確定拠出年金に加入している会社員は、個人で自由に個人型確定拠出年金に加入する・しないの判断をすることができないということ
→企業型確定拠出年金に加入している社員が個人型確定拠出年金に加入するためには、会社が従来の企業型確定拠出年金の規約を変更する必要があるからです。
個人型確定拠出年金の税制メリットとは?
個人型確定拠出年金では、①掛金を払うとき、②運用している間、③運用してきた資産を受け取るときに税制メリットがあります。
ここでは①~③の場合に、それぞれどのようなメリットがあるのか解説していきます。
①掛金を払うとき
個人型確定拠出年金において、毎月積み立てた掛金については全額が「所得控除」の対象となります。
そのため、将来のために積み立てをしながら、その年の所得税と翌年の住民税が軽減されます。
つまり、課税所得が高く、掛金を多く支払っている人ほど節税効果が大きくなるといえます。
②運用している間
資産を運用している間の利益(預金の利息や投資信託を解約したときの利益など)はすべて非課税となります。
そのため、本来、税金として差し引かれるはずのお金までそのまま再投資することができます。
したがって、効率的に老後資産を増やすことができます。
③運用してきたお金を受け取るとき
運用してきた資産を受け取るときには原則課税ということになっています。
しかし、一時金として受け取るときには「退職所得控除」、年金として受け取るときには「公的年金等控除」という控除の枠を利用することができます。
退職所得控除とは?
退職所得控除とは、収入金額から「退職所得控除額」を差し引いて、残った金額に2分の1を掛けた金額のことをいいます。
ここでいう収入金額とは、「運用してきた確定拠出年金の受取額」をいいます。
退職所得控除額は勤続年数に応じて決まります。
ここでいう勤続年数は、「確定拠出年金の掛金を支払っていた期間」をいいます。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1420.htm
上記の表は、退職所得控除額の計算の表です。
勤続年数20年を境に、退職所得控除額の計算方法が変わります。
20年までは毎年40万円、20年を超えると毎年70万円ずつ非課税の枠が大きくなる仕組みなので、
少額でもいいので早めに加入したほうが、将来受け取る一時金を計算する際の退職所得控除の額が多くなり、税負担を抑えることができ、おすすめです。
公的年金等控除とは?
公的年金等控除とは、雑所得を計算する際に、公的年金等の収入額に応じて一定の金額を控除、差し引くことのできる制度のことをいいます。
個人型確定拠出年金は、年金形式で受け取る場合、税法上「雑所得」の扱いとなるため、公的年金等掛金控除額を差し引くことができます。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1600.htm
上記の表によると、たとえば65歳未満であれば70万円まで、65歳以上であれば120万円までなら所得税がかかりません。
ただし、この公的年金等の収入額は、公的年金や企業年金などを年金形式で受け取った場合の金額などがすべて合算されます。
したがって、受け取る公的年金の額が多い人などは、個人型確定拠出年金の受け取りが加わることで、1年あたりの所得が多くなってしまい、
税金に加えて、国民健康保険や介護保険の保険料が上がってしまう可能性があります。
まとめ
個人型確定拠出年金の給付については、加入期間や受け取る金額、ほかに受け取る公的年金や企業年金、退職金があるかどうかによって、いつ受け取るのが最適か人によって異なります。
そのため、ほかに受け取る公的年金等が、「いつ」「どのように」「どのくらい」もらえるのか把握することで、「いつ」「どのような方法で」個人型確定拠出年金を受け取るのがよいか考えるヒントになるでしょう。
個人型確定拠出年金の金融機関の選び方
ここでは個人型確定拠出年金の金融機関の選び方について解説していきます。
まず、個人型確定拠出年金に加入するためには、自分で窓口となる金融機関を選んで口座を開設する必要があります。
口座を開設する際には、金融機関選びを慎重に行っていただきたいです。
金融機関選びを慎重にしたい理由
金融機関選びを慎重にしたい理由は、個人型確定拠出年金は、老後資金を準備できる制度であり、原則60歳までお金を引き出すことができません。
したがって、個人型確定拠出年金の口座を開設した銀行とはおのずと長い付き合いになっていきます。
これが、金融機関選びを慎重にしたい理由です。
金融機関を選ぶ際には、①口座管理手数料、②商品の品ぞろえ、③利便性・サービスの3つのポイントを確認しながら選びを考えましょう。
①口座管理手数料について
個人型確定拠出年金に加入すると様々な手数料がかかります。
まず、加入時に国民年金基金連合会に口座開設の手数料(2777円)を支払います。大部分の金融機関はこの金額だけですが、一部の運営管理機関では手数料をとるところもあります。
そして、加入後毎月支払わなければならないのが、口座管理手数料です。これらは、国民年金基金連合会、運営管理機関、事務委託先金融機関に対しそれぞれ支払われます。
この金額については、高いところと安いところでは3.5倍以上の開きがあります。
また、口座管理手数料は、掛金と別に新たに支払うわけではなく、毎月の掛金の中から差し引かれるという形になっています。
したがって、口座管理手数料としてひかれる金額が少ないほうが、同じ掛金で、口座管理手数料が高い人よりもたくさんの金融商品を買い付けることができます。
しかし、注意していただきたいのは、口座管理手数料が安い金融機関は、ほかの運営管理機関や、企業型確定拠出年金に移管するときに、移換時手数料が4320円かかります。
②商品の品ぞろえについて
次に確認していただきたいのは、取り扱っている商品の品ぞろえです。
個人型確定拠出年金では、加入者が掛け金で、「どの金融商品を」「どの割合で」購入していくかを決める必要があります。
個人型確定拠出年金では自分が口座を開いた金融機関が指定した商品からしか、預け先・投資先を選ぶことができません。
したがって、現役世代の人が老後の資産形成を目的に個人型確定拠出年金に加入するのであれば、まずは投資信託の品ぞろえに注目してください。
③利便性・サービスについて
最後に確認していただきたいのは、利便性・サービスについてです。
主にウェブを利用する方であれば、ウェブでの情報・機能の充実性を確認しておくことが大切です。
電話で問い合わせをしたい場合には、コールセンターの受付時間・対応、
窓口で口座開設をしたい場合には、窓口の受付時間や、そもそも受付を行っているかを確認することが大切です。
まとめ
個人型確定拠出年金に加入する際の金融機関は、最初にも述べましたが、おのずと長い付き合いになっていくため、
上記①~③のポイントに着目しながら、自分に合った金融機関を慎重に選んでいただきたいと思います。
まとめ
少子高齢化によって、公的年金や企業年金といった老後資金はこれまでほど強力ではなくなってしまいました。
そのため、私的年金への加入について考えてみるべきであると思います。
個人型確定拠出年金は、老後の資産形成のみならず、住民税や所得税が軽減されるという節税効果もあります。
ぜひ個人型確定拠出年金に加入して、節税しつつ、老後資金を準備しましょう!
個人型確定拠出年金に関する記事をまとめていますので、良かったら参考になさってください☟