がんは日本で最もよく知られている、認知度の高い病気の一つです。男性・女性ともに毎年非常に多くの人が罹患しています。
がんの種類によって、男性・女性でがんになる部位が同じものと、男女それぞれの特有の部位ががんになるものがあります。
男性特有のがんで主なものは「前立腺がん」です。対して、女性特有のがんとして主なものは「乳がん」「子宮がん」の二つが挙げられます。
がんになった時に加入していると役立つのが「がん保険」ですが、実は女性向けのがん保険というものが存在します。
基本的な保障は通常のものと同じですが、女性向けのがん保険では「乳がん」「子宮がん」などに女性特有のがんに対する保障が手厚くなっているものがあります。
この記事では女性のがん罹患の実態と対応するがん保険について詳しく解説していきます。
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も紹介しています。
女性特有のがんの特徴
部位別にみるがんの「死亡率」
出典:http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
上表は2014年における部位別死亡数です。男女ともに「肺がん」「大腸がん」「胃がん」が共通して1位、2位、3位のいずれかにランクインしています。この三つのがんが日本国民の間で最も死亡者の多いがんということになります。
ここで女性の列を見てみると、5位に「乳がん」があることが分かります。そう、女性のがんによる死亡者数5位は「乳がん」なのです。
詳しい部位別の死亡者数データは下表のようになります。
出典:http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
このように「乳がん」による死亡数は全部位の中でも比較的大きなシェアを取っています。
では次に、「乳がん」の年齢別死亡者数のグラフを見ていきましょう。
出典:http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
「乳がん」の傾向としては他の多くのがんと同じように年齢が高くなっていくにつれて死亡者が多くなっていきます。このデータでは、60-64歳の間で死亡者数が最も多いことが分かります。
ところで、ここまで各種データを見てきましたが、「乳がんによる死亡者数が多いことは分かったけど、子宮がんの死亡者数は多くないじゃない!」と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。あるいは、「乳がんの死亡者数もほかの大腸がんや胃がんと比べたらそこまで多くないんじゃないの?」と感じる方もいるかもしれません。
実際に子宮がんのうち子宮頸がんなどは、検診を推奨するプロモーションやキャンペーンが行われたことで検診が普及したことから死亡率は減少傾向にあります。
しかしここで忘れてはならないポイントは、このデータが「部位ごとの死亡者数」を表しているという点です。
あくまでその部位のがんにかかって「死亡した」人の数であり、その部位のがんに「かかった」人の数ではないのです。
次の項では「かかった」人の数について見ていきます。
部位別にみるがんの「罹患率」
まず下の表をご覧ください。
出典:http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
先ほどの死亡者数の棒グラフと見比べてみてください。「乳房」の項目の数が圧倒的に上昇していることが一目瞭然です。実に死亡者数の約7倍の人が罹患しているのです。加えて「乳房」項目右横の子宮部分についても見てみると、死亡者数の約4倍となっています。
このように、「乳がん」「子宮がん」を罹患する人は死亡者よりも断然多いことが分かります。
また、乳がんを罹患する人は比較的若年層であることも分かっています。
出典:http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
乳がんの実際と女性向けがん保険
この結果は、「実際に乳がんや子宮がんにかかったとしても治療して完治することができる」という見方もできます。
「乳がん」「子宮がん」に関しては、女性にとって非常にセンシティブな問題を抱えています。
乳がんと診断されると、そのがんの大きさや性質(悪性か否か)、転移がないかといったところを分析しどのように治療していくかを決めていきます。
非常にがんが小さい場合は乳房温存手術などで対応し、術後は放射線治療を行います。転移が広範囲である場合は切除術が行われたり、薬物治療が行われたりします。がんが大きい場合でも術前の治療でがんが小さくなった場合も乳房温存手術が行われます。
このように、乳がんの大きさによっては乳房切除手術を受けざるを得ない場合もあるのです。
早期発見ができれば大きな影響がなく治療が可能ですが、発見が遅れると転移等が起こりやすく乳房切除になってしまいます。
しかし、もし乳房切除手術となっても、「乳房再建手術」を受けることが可能な場合があります。
これは、一度切除した乳房にシリコン等人工物を入れたり、患者のほかの体組織をもってくるなどして術前の状態を維持する術式です。
実は、女性向けのがん保険ではこのような「乳房再建手術」を保障する内容が含まれているものがあるのです。
また、乳がんのうち転移可能性の少ない早期発見されたがんであっても保障されるものもあったりと、女性特有の悩みに対応する保障内容を提供しているものが多くあります。
子宮がんの実際と女性向けがん保険
子宮がんは、女性特有のがんである乳がんと比べると罹患数・死亡数ともに少ないことが上記のデータから分かります。
しかし子宮にまつわるがんは乳がんとはまた違った問題があります。
まず第一に、子宮がんは若くして罹患する人の数が他のがんと比べて高いという点が挙げられます。
以下のグラフをご覧ください。
出典:http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
子宮がんの罹患者が若年層でも多いことは明白です。
特にブルーのラインで示されている「子宮頸がん」は子宮がんの中でも群を抜いて若年層に罹患者が多いがんとなっていることが分かります。
子宮頸がんに注目すると、さらなる驚きの事実があります。
上記のグラフは「悪性新生物」と呼ばれる、転移や拡大の可能性があるもののみを表示していますが、「上皮内新生物」という現状では拡大や転移の可能性が極めて低くきちんと治療すれば治るタイプのもの(がんになる寸前の状態)の罹患者を含めると以下のようになります。
出典:http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
先ほどのグラフに輪をかけて若年層の罹患者が増えたことがわかります。罹患者数自体も大幅に増加しています。
子宮頸がんの比較対象として、胃がんの場合のグラフを見てみましょう。
出典:http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
こうしてみると、子宮頸がんがいかに若い時にかかりやすいがんであるかがよく分かりますね。
子宮頸がんも病状の進行具合によっては切除を行う必要が出てきます。
がんの範囲が広がると、子宮全摘出という女性にとって非常に大きな決断をしなければならないこともあります。
子宮頸がんは近年検診を受けることを推奨するプロモーションやキャンペーンが行われているため子宮がんになる手前で早期発見される事例が増えてきています。しかし子宮系のがんは初期症状をほとんど感じないためきちんと検診を受けていないと発見できないものが多いのが現状です。
女性向けがん保険の多くは、「子宮全摘出」術式を行った場合に保障がつくようになっています。
またたいていは子宮全摘出になった場合・乳房切除になった場合などがセットで保障されるようになっています。
このように女性向けのがん保険は、より女性ががんになった際の悩みに沿った保障内容が通常のがん保険に加えられています。
女性向けのがん保険に入るべき時期は?
前述の通り、乳がんや子宮がんなど女性特有のがんは若年層での罹患者数が多いという傾向があります。
そのため、20代などできるだけ早めに入っておくことでこれらのがんに罹患した時の負担を軽減することができます。
女性向けのがん保険では女性特有のがんに対する保障を強化している商品が多いですが、通常のがん保険であっても保障額をあらかじめ多くしておくことで乳房再建手術等を行う際のお金を確保することもできます。
しかいいずれの場合にしても、がん保険は20代での加入と30代での加入では保険料が大きく変わります。若ければ若いほど保険料をおさえることができるので、若いうちにがん保険に加入することがお得です。
まとめ
女性特有のがんは、女性にとって大きな悩みや苦しみの種となってしまうものが多いのが現状です。しかしがん保険に加入していることで給付金を受けられ、そのお金で乳房再建手術など術前とほぼ変わらぬ状態でいられるようになることもあります。また女性のがんの特徴である若年層からの罹患も考慮し、早め早めの対策が重要です。
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